目次
行政書士として相続手続きはできるの?
――不安や疑問から始まる“相続実務”への第一歩
「相続手続きって、行政書士でもできるのだろうか?」
「もしできるなら、どこまで対応できるの?」
「専門家を名乗るには、どんな知識や経験が必要なの?」
もしかすると、あなたもそんな疑問や不安を抱えていませんか?
突然ふってわいた相続案件。
「この手続き、どう進めればいいんだろう…?」
「戸籍の取り寄せ?財産調査?それともまずは話し合い?」
行政書士として開業したけれど、実務に踏み込もうとすると急に足が止まってしまう――。
そんな経験、あなたにはありませんか?
私はあります。
そして、その壁を越えるまでに、時間も、労力も、そして少なからず“自信”も削られました。
「行政書士は相続手続きできない」って本当?
インターネットを見ていると、時折目にするこんな言葉。
「相続手続きは司法書士や税理士の仕事であって、行政書士にはできない」
…本当にそうなのでしょうか?
たしかに、相続は多士業が関わる分野です。
司法書士や税理士、弁護士との境界線は、しっかりと認識しておかなければなりません。
でも、それって裏を返せば――
「行政書士が対応できる範囲をきちんと理解すれば、相続手続きを受任することは十分に可能」ってことではないでしょうか?
私自身、そう考えて、相続実務に踏み込むことを決めました。
専門特化って本当に必要?
「何でもやります」は武器になるのか
開業当初、「とにかく仕事が欲しい」と思い、ありとあらゆる業務を掲げていませんでしたか?
遺言、会社設立、補助金申請、建設業許可…
「専門性なんて贅沢だ。今はとにかく生き残るために…」
――でも、それで本当に“選ばれる行政書士”になれるのでしょうか?
ふと思い返してください。
あなたが病院を選ぶとき、「何でも診ます」というクリニックと「腰痛専門」と書かれた整形外科、どちらに行こうと思いますか?
「これしかやっていません」と言い切れる人こそが、信頼され、選ばれる。
行政書士だって同じではないでしょうか。
相続の専門家になるには何が必要?
では、相続手続きを専門にするには、どんな準備が必要なのでしょうか?
実務書を読む?セミナーに参加する?
もちろん、どれも間違いではありません。むしろ正しい努力です。
でも…
それで「よし、明日から相続業務を受任しよう!」と思えるほどの自信、つきましたか?
私はつきませんでした。
知識が断片的だったり、実際の流れがイメージできなかったり。
“頭では分かっているけれど、現場でどう動けばいいのかがわからない”。
そんな状態が長く続くと、どうなると思いますか?
営業に出るのが怖くなる。
「もし依頼されたらどうしよう」と不安になる。
結果――
せっかくの機会を、自ら手放してしまうんです。
相続実務に必要なのは、知識ではなく「準備」
行政書士は、試験に合格しても“現場で即戦力”になれる資格ではありません。
試験で学ぶのは、あくまで法律の基礎知識。
では、どうすれば相続のプロフェッショナルになれるのでしょうか?
答えはシンプルです。
「準備すること」
具体的には、
- 相続実務の流れを体系的に知ること
- 現場で必要な書式を揃えておくこと
- よくあるトラブルやミスを事前に学んでおくこと
これらが整って初めて、安心して相続業務をスタートできるのではないでしょうか?
ここまでのまとめ
- 相続業務は行政書士でも対応可能。ただし、他士業との境界を明確に理解することが大切
- 「何でもやります」ではなく、「○○専門」が信頼を生む
- 実務を安心して受けるには、自信よりもまず「準備」が重要
この続きでは、実際の「相続手続きの流れ」や「不動産・株式・海外相続」など個別ケースへの対応方法を、さらに読者目線で掘り下げていきます。
ありがとうございます。
それでは「続き」をリライトいたします。前回の構成に続く形で、相続手続きの実務の流れや個別ケース(不動産・株式・海外相続)について、引き続き“疑問→共感→誠実な解説”のトーンでお届けします。
実際の相続手続きって、どんな流れなの?
「相続手続きって、具体的にどんなことをやるの?」
「行政書士が関わるのはどの部分?」
そう思ったことはありませんか?
相続の基本的な流れは、おおまかに以下の通りです。
- 相続人の確定(戸籍の取得)
- 相続財産の調査
- 相続関係説明図や財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産・預貯金などの名義変更や解約
これらの中で、行政書士が対応できるのは主に「書類作成と調査」の部分です。
特に、相続人確定や財産目録の作成、遺産分割協議書の作成などは、行政書士が最も力を発揮できる分野と言えるでしょう。
不動産がある場合はどうするの?
「不動産がある場合、登記は司法書士じゃないとできないよね?」
はい、それはその通りです。
不動産の所有権移転登記は司法書士の独占業務です。
でも、登記申請以外の準備――つまり「戸籍の収集」「相続関係説明図の作成」「遺産分割協議書の作成」などは、行政書士の業務範囲です。
実際、司法書士から「書類一式を作ってもらえませんか?」と依頼されることもあるほどです。
登記の前段階を正確に、丁寧に整える。
それこそが、行政書士としての価値を発揮する場面ではないでしょうか。
株式や投資信託の名義変更は?
「証券会社の手続きって複雑そう…行政書士でもできるの?」
そう思われるかもしれませんが、実はこの分野も行政書士が十分対応できる範囲です。
なぜなら、証券会社の相続手続きは、
- 戸籍一式の提出
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書
といった書類の整備が中心になるからです。
もちろん、各証券会社ごとに必要書類や手続きが微妙に異なるため、事前にしっかり確認し、書類を間違いなく揃える力が求められます。
そう、「丁寧な準備と確実な対応」ができる行政書士だからこそ、信頼される場面なのです。
海外資産や非居住者が関わる場合は?
「海外在住の相続人がいるけれど、どう対応すれば?」
「海外に資産がある相続は行政書士にできるの?」
結論から言うと、ケースバイケースです。
例えば、
- 海外在住の相続人がいる → 在外公館等からの在留証明の取得支援や遺産分割協議書の英文訳などが発生
- 海外資産(不動産・口座)がある → 日本の書類の英文対応や、外国法への連携が必要
当然ながら、海外法務に関わる部分は弁護士などの協力が不可欠ですが、行政書士として「日本側の準備書類を整える」ことは可能です。
むしろ、海外相続では日本語と英語、法的文書と実務との橋渡しが求められるため、書類作成のプロである行政書士が活躍できるチャンスとも言えます。
相続の仕事って、儲かるの?
「正直なところ、相続ってビジネスとして成り立つの?」
行政書士として食べていける仕事なのか――気になるところですよね。
たしかに、最初から高単価でバンバン依頼が来るわけではありません。
ですが、相続手続きは単発業務に見えて、実は継続性のある分野です。
- 相続が終わったら遺言書作成の相談が来る
- 家族の別の相続や不動産関連の相談が回ってくる
- 信頼されれば、親戚や知人からの紹介が生まれる
一件一件の案件を丁寧に対応し、信頼を積み重ねれば、“相続専門行政書士”としての地盤は確実に築けます。
そして何より――
「おかげで安心して手続きができました」
その一言が何よりの報酬になる、やりがいのある仕事です。
どうやって相続業務を始めればいいの?
「やってみたい。でも、どう始めればいいの?」
「実務経験もないし、自信もないし…」
そう感じるのは、とても自然なことです。
ですが、相続業務は**“正しい準備”と“信頼構築”**さえできれば、開業初期でも十分に対応できる分野です。
はじめの一歩としては、以下のような取り組みがおすすめです。
- 戸籍の読み方・集め方の練習
- 法定相続人の確定方法をマスター
- 財産目録や遺産分割協議書の作成フォーマットを用意
- 銀行や証券会社、不動産関連の手続きを事例で学ぶ
さらに、相続に強い士業ネットワークに参加したり、必要に応じて税理士・司法書士・弁護士との連携体制を整えておけば、より安心して業務を進められるでしょう。
失敗しないためには、どうすればいい?
「最初の案件で失敗したらどうしよう…」
そう不安になる気持ち、よくわかります。
だからこそ、**最初の1件は“確実に成功させる”**ことがとても大切です。
無理に手広くやろうとせず、たとえば「戸籍収集のみ」「相続関係説明図の作成だけ」といった部分業務でも良いのです。
小さな案件で実績を積み、1件ずつ丁寧にこなしていくこと。
それが、長く続けられる“信頼される行政書士”になる近道です。
今すぐできる準備とは?
「でも、具体的に何から始めればいいの?」
今すぐ取りかかれることもあります。
✅ 手元にある自分や家族の戸籍を使って“法定相続人を確定する練習”をしてみる
✅ 過去の相続案件事例を集め、必要書類を洗い出してみる
✅ 各金融機関の相続手続きのページをブックマークして、情報を整理する
✅ 相続専門を打ち出すためのHPや名刺の準備を進める
一つひとつは地味な作業かもしれません。
ですが、そうした積み重ねが「いざという時に迷わず対応できる」自信につながります。
最後に──あなたの一歩を、応援しています
「本当に自分にできるだろうか…?」
そう迷う気持ちは、きっと多くの方が抱えています。
でも、相続は“人生の節目に必要とされる手続き”です。
だからこそ、親身に、誠実に対応できる行政書士の存在が、これからますます求められます。
もし、あなたが
- 困っている人の力になりたい
- 書類づくりを通じて安心を届けたい
- 信頼される仕事をしたい
そう思っているなら、相続業務はきっとあなたに向いています。
不安があるなら、準備すればいい。
経験がないなら、小さく始めればいい。
大切なのは、“最初の一歩”を踏み出すことです。